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現職
京都大学 防災研究所地盤災害研究部門 山地災害環境分野 教授

研究の概要と姿勢
山地の崩壊や地すべり、およびその準備段階にあたる岩石の風化、重力による長期間にわたる山体の変形などの研究を行って来ました。特に、山地における砕屑岩の化学的風化は、浸透する水と岩石との連鎖的反応であることを世界で初めて明らかにし,また、山体が重力によって長期的に変形することを世界にさきがけて広範に観察・報告しました。その後,様々な岩石がそれぞれ特有のプロセスで風化し特有の風化帯構造を形成することを見出し,それらが斜面崩壊の大きな原因になっていることを示してきています.また、航空レーザー計測によって樹林に隠された山地斜面の詳細な地形が明らかにできること、それと地質構造とを鍵にして大規模な崩壊の発生場所を予測できることを明らかにしてきました。今後、さらに、大規模崩壊の発生メカニズム、予知などの研究を手初めとして、地盤災害軽減のための研究を進めるとともに、それを支える基礎的な地質・地形的研究を行って行きます。

モットーは、科学は社会のために、研究には専門分野の境はない、災害のない時にこそ災害の研究を。

研究内容
重力による山体の変形と大規模崩壊の発生過程
 (主に野外調査と航空レーザー計測による)
変動帯における地形発達史
種々の岩石の風化と表層崩壊の発生過程
 (野外調査と室内分析と実験による)
最近の研究テーマ
  かこう岩の成因が風化に及ぼす影響
  大規模崩壊の地質・地形特性の研究と,それによる崩壊発生場所予測
  表層崩壊発生斜面の抽出手法と危険度評価
  その他,突発災害地域の地質調査
   (1997年八幡平の地すべり,1998年福島県豪雨災害,1999年広島県豪雨災害,1999年台湾集集地震斜面災害,1999年ベネズエラ豪雨災害,2000年神津島災害,2002年韓国台風ルーサ災害,2003年九州水俣・菱刈豪雨災害,2004年新潟県中越地震,2005年台風14号),2005年九州豪雨災害,2005年パキスタン北部地震,2007年能登半島地震,2008年中国四川地震,2008年岩手・宮城内陸地震、2008年台湾台風モラコットによる小林村の地すべり

教育方針
 地盤災害に密接に関わる研究を基礎的な科学として行う.
 自ら問題点を発見し,解決し,さらにj活字にした時の嬉しさを味わってもらう.
 修了時には,最低,英語の論文を読めて,日本語が書けて,話せるようになってもらう.
 Think globally, act locally.

教育の足跡

大学院受験を考慮中の学生さんへ
 私の研究室の学生の出身は,今まで,東京学芸大学,大阪市立大学,島根大学,山口大学,徳島大学,東京都立大学,京都大学,大阪教育大学,高知大学,広島大学,信州大学,早稲田大学,東北大学,愛媛大学,鹿児島大学,滋賀大学、九州大学と色々です.留学生は台湾の国立中興大学から。皆新しい環境で和気あいあいでとやってきました.また,入学前に行っていた勉強,研究も地形,層序学,構造地質学,隕石,古地磁気,火山豆石,砂防、と多様です.ここに来る前から斜面ハザードについて研究していた人はあまりいません.漠然とした形ながら,災害に関係した地質学(あるいは地球科学)をやりたいと思って集まった連中です.過去よりも将来.新しい地質形学を作る人たちを歓迎します.地球惑星科学専攻,地球物理学分野,環境地圏科学分科です.
 私の考え方は,次の4つの本を読んでもらえればわかります.

千木良雅弘(1995)風化と崩壊.近未来社,名古屋,204p.2800円
千木良雅弘(1998)災害地質学入門.近未来社,名古屋,206p.2500円
千木良雅弘(2002)群発する崩壊.近未来社,名古屋,228p.3000円
千木良雅弘(2007)崩壊の場所.近未来社、名古屋,256p.3238円
これらの本の情報はこちらへ

最近のニュース

マレーシアの調査旅行記
2009年台風モラコットによる台湾小林村の地すべり

ちょっと前のニュース

2008年四川地震による斜面移動現象の予察整理Go
中越地震による斜面災害 
2005年パキスタン北部地震による地震・土砂災害
アフリカ紀行
韓国2002年台風ルーサのハザード調査

2003年九州地区豪雨災害調査go

京都大学防災研究所共同研究

特定共同研究:大規模崩壊発生場の地質地形特性の研究(1998−1999)
 一般共同研究:GISを用いた崩壊発生場の地形特性の研究(1999−2000)−研究代表者小口高
 特定研究集会:十津川災害111周年記念集会−崩壊発生の危険度評価に向けて(2000)
 一般共同研究:泥火山とマッドダイアピルに起因する地盤災害発生メカニズムの研究(2002−2003)−研究代表者田中和弘
 一般研究集会:豪雨による斜面崩壊危険度評価の新たな展開(2003)
特定共同研究:降雨による崩壊危険度広域評価−崩壊実績と地質・地形に基づいて‐(2005-2007)

講演など

所属学会など

日本応用地質学会(会長)
地すべり学会(理事,研究調査委員)
日本地形学連合(データベース幹事)
日本地質学会
地盤工学会
東京地学協会
自然災害科学学会
砂防学会
国際応用地質学会(IAEG)
ヨーロッパ地球科学連合(EGU)
Editorial Board of the Engineering Geology from Elsevier
日本技術者教育認定機構「地球・資源分野審査委員会」委員

リンク

日本応用地質学会技術者教育委員会

論文と著書

履歴

1980年:東京大学大学院理学系研究科地質学専攻 修士課程終了
     同年:同上博士課程進学
1981年:同上中途退学
1981年:財団法人電力中央研究所 入所
ダム,発電所,送電鉄塔などの基礎の地質調査に従事するとともに,基礎的研究として岩石の風化と岩盤の重力による変形について研究.
1997年1月:同上退職

同年2月:京都大学防災研究所教授(現在に至る)

地盤災害研究部門にて研究を行うとともに,理学研究科地球惑星科学専攻(地球物理,環境地圏科学分科)の教員として大学院の学生の指導を行っている.

好きな詩