2016年4月17日
平成28年(2016年)熊本地震による南阿蘇村における斜面変動の
発生状況 第1報 (2016/4/16 18:00 時点での判明箇所)

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本ページは,2016/04/16 18:00時点までに,現地調査ではなく報道等によって把握された斜面崩壊をマッピングした情報を,公益性を考え,必要とされる人のために速報的に公開するものです.実際には,さらに多くの斜面変動が発生しているものと考えられます.災害事象は現在連鎖的に進行中です.現場の状況に合わせて適切に警戒・避難することが望ましいと考えられます.このデータの使用にあたっては,ご自由に図化したり,加工したりして頂いて差し支えありません.ただし,提供者はデータの精度・確度を保証するものではありません.データ使用の帰結に関する責任は使用者にあり,それによって生じる問題について,提供者は一切の責任を負いません.

京都大学防災研究所 地盤災害研究部門
山地災害環境研究分野 松四雄騎
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2016/4/16 01:25に発生した地震(M7.3)により,熊本県南阿蘇村では南西-北東方向に延びる地表地震断層が出現し,その周辺で多くの斜面崩壊が発生した.報道ヘリによる空撮動画やSNS上での情報等をもとに南阿蘇村において発生した斜面変動をマッピングした.

斜面崩壊の多くは,この地域一帯の斜面を覆うテフラが崩落したものとみられる.阿蘇カルデラ壁や開析谷壁のような傾斜30°以上の急勾配部で多くの崩壊が発生した.崩落した阿蘇大橋では,東詰路面に薄い土砂の堆積がみられることから,地震動そのものではなく,西側斜面の崩壊によりもたらされた崩土が,橋を破壊したものと推察される.また京大研究施設周辺にみられるように,傾斜10°程度の緩斜面においてもせん断破壊が生じ,流動的な土砂移動が発生しているようであった.これは水を含んだテフラが地震動を受け,液状化が生じたことによると考えられる.

4/17未明以降,この地域では降雨が予想されており,地震によって崩落したテフラが堆積した谷における降水の流出に伴う土石流の発生や,降雨浸透後の余震による,新たな流動性斜面変動の発生に注意が必要である.(04/16 20時 記す)
国土交通省 災害情報ページ
国土地理院 災害情報ページ
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