台風8号(Morakot)による台湾高雄県小林村甲仙郷の崩壊について

2009819

京都大学防災研究所 地盤災害研究部門 

千木良雅弘,ツォウ・チンイン

 

台湾の高雄県小林村甲仙郷では,台風8号(台風莫拉克Morakot)によって9日早朝に土石流が発生し,約400人が生き埋めになったとの報道がなされている。それについて,発生前後の地形映像を入手することができたので,それについて解析した。その結果,この土石流は,河川の堆積物が土石流化したのではなく,小林村の背後,しかもかなり奥の山腹斜面が崩壊し,崩壊土砂が岩屑流となって小林村を襲ったと推定された。

台湾の高雄県小林村で89日に発生した土石流の映像が入手できた。それとGoogle earthで見た発生前の地形とを比較してみた。

左は,台湾の逢甲大学による空撮映像である。最上部に崩壊源があり,その下方が岩屑流となって小林村を覆い,さらに対岸と下流に流れ広がっている様子が見える。右の発生前の画像と比較すると,小林村の裏山自体は崩れておらず,土砂はもっと上方からきていることがわかる。おそらく矢印で示したところが崩壊した個所である。