2015年ネパール地震の震央付近の地質と想定山地災害について(概要)

2015年4月30日

地盤災害研究部門 千木良雅弘

2015年4月25日6時11分(標準時、現地時間15時11分)に発生した地震(M7.8, 深さ34q、USGS)は、首都カトマンズの北西80qに震央を持ち、カトマンズで甚大な被害を発生したこと、また、余震によってエベレストで雪崩が発生したことが報道されている。一方で、震央地域では震動が強く、大きな山地災害が発生したと考えられるが、それについての報道は全くなされていない。

筆者は、1999年にカトマンズから、その西北西150qにあるポカラまで、特に斜面に注目した地質の観察を行い、また、手元に地質図もあることから、これらの地域の地質の概要をまとめる。今後の災害想定に役立てば幸いである。

図1 カトマンズから震央近辺の道路図。カトマンズから西へ行く道路は実質1本のみ(Prithvi Highway)。この道路が寸断されれば、カトマンズから陸路で震央地域に行くことはできない。

図2 カトマンズから震央周辺の地質図(Geological map of Nepal, 1994)。震央(星印)はメインセントラルスラスト(MCT)上。その北方からカトマンズ周辺には、ハイヒマラヤの結晶質岩(hx片麻岩、珪岩、大理石)、Nawakot Group(na 堆積岩類)、Kuncha Group(片岩、千枚岩、砂岩など)

地質の概要と地震動による斜面変状の推定